「こどもの心理療法 ―遊戯療法を中心として―

東北大学病院精神科 心理療法士  工藤亜子 先生 

 
   「遊び」はこどもの生活の大半を占め、ごく自然に営まれる全人的な活動で
  ある。その「遊び」をふつうに楽しみ、遊びきることを通して、こどもはありのま
  まの自分を表現し、成長する存在として生き抜く力を得ることが可能になる。
  この「ふつうに遊べることの大切さ」が治療に用いられることの意味について
  考えてみたい。
   さらに、重い障害や深刻な問題を抱えているこどもの場合には、ふつうに楽
  しく遊ぶ事が困難になっていることが多い。「遊び」を通して自分のありのまま
  の姿や、受け入れ難い思いが表現できるようになってくるにつれ、元気を回
  復し、現実の辛さにも向き合えるようになってくる。このように「遊び」を通して、
  本来の成長に向かう力を取り戻し、受け入れ難い現実や辛い感情を受け入れ
  ていく過程が遊戯療法の過程である。ふつうに遊べるように、こどもの心に添
  いながら、「遊び」の「場」を守ること、こどもの主体性を尊重し、責任を持った
  存在として扱うことの大切さにも触れてみたい。
   こどもの心に添うことで、関わりを持つ大人の側も「遊びを生きる」体験を共
  にし、自分の在り様に気づいていく可能性が開かれることと思う。